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【読書メモ】不良のための読書術

 

不良のための読書術 (ちくま文庫)

不良のための読書術 (ちくま文庫)

 

 以前のエントリで紹介した『不良のための文章術』の著者が書いた本。単行本の出版は1997年で、現在は絶版になっているが、Amazonなら中古で1円で買える(送料はかかるが)。

rs-hmgsr.hatenablog.com

本は面白いところだけ読む

「不良」のための読書とはどういうことかというと、
  • 良い子の読書⇒本を最初から最後までしっかり読む
  • 不良の読書⇒本は面白そうなところだけ適当に20〜30ページくらい読む
つまらなかったら読むのをやめる。面白かったら全部読んでもよいし、面白くても途中でやめてもよい。これが「不良」の読書だ。
 
特に本の最初は「つかみ」なので、読むべき本かどうかの見極めに適している。
つまらない本を買ったお金は損してしまうが、それを最後まで読めばもっと大事な時間まで損してしまう。本を最初から最後まで読まないと、著者や編集者は悲しむかもしれないが、出版社や書店は別に悲しまない(むしろたくさん本を買ってくれたほうが喜ぶ)ので不誠実というわけでもない。
 
「本は面白そうなところだけ読めばいい」という考え方はこれまで何度も目にしてきた。私も最近になってようやく「つまらなかったら途中で読むのをやめる」ことはできるようになってきたのだが、「まあまあかな」と思った本だとまだ最後まできっちり全部読んでしまう。本のエッセンスだけを見極めて読むという「不良」の読書ができるようになりたい。
 

出版業界の諸事情とライターの原稿料

この本は、一般的な読書術(本の読み方など)に関しては、上記の「面白そうな部分だけ読む」ということくらいしか書いてない(本全体の1割以下)。あとの9割以上は出版社の広告費、本の再販制度、書店・図書館の使い方といった出版業界全体の諸事情について書いてある。
 
出版が1997年なので、ようやく本のオンライン通販が始まったばかり、電子書籍については「将来は実現できるかもしれない」くらいの感じで書かれていて時代を感じる。書店での「入手できなくなりそうな本の見分け方」とか、Amazonがある今では役に立ちそうもない知識も多いけれど、今と昔で違う部分、共通する部分はどこかという視点で読むとけっこう楽しいんじゃないかと思う。
 
ひとつ面白かったのはライターの原稿料について。
(以下引用、原文は漢数字だが、算用数字で記載)
原稿料の計算にも2通りある。ひとつは文字量による計算方法で、通常は400字詰め原稿用紙一枚分がいくらという計算をする。ぼくの経験では、一部のマイナーな雑誌のように原則として原稿料が出ないものは別として、いちばん安いところで1枚1,000円、高いところで1万円ぐらいか。だいたい4,000円から7,000円ぐらいのことが多い。400字詰めの半分の200字詰め原稿用紙を「ペラ」と呼ぶ。ペェペェの新人ライターはペラ1枚で原稿料が500円なんてことがあるので、「使い捨て500円ライター」と呼ばれる。
この箇所を読んで、しばらく前に「Webライターは1記事500円の時代」みたいな話がネット上で話題になったことを思い出した。

logmi.jp

この話題では「バイラルメディアのせいで〜」、「クラウドソーシングでライター側が安売りするから〜」といった事情からライターの報酬が下がってしまったという議論がされていたと記憶している。
紙とWebを単純に比較してはいけないかもしれないが、素人に近いライターの報酬が激安という状況は、約20年前(あるいはもっと昔)から大して変わっていないのだと感じた。