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【読書メモ】ニューカルマ

 

ニューカルマ

ニューカルマ

 

会社の業績悪化、仲のいい上司のリストラなどにより、将来への不安(?)からネットワークビジネスにハマっていく若手サラリーマンの話。
ネットワークビジネス始める→しばらくうまくいかない→一時的に成功→どん底まで転落→足を洗って更正、と思いきや…。

二転三転するストーリーがいい。絶対やめたほうがいい世界だとわかってるのに、痛い目みたのに、なぜかやめずに続ける…というのは『狭小邸宅』(前作の不動産営業の小説)と似ている。

 

主人公が成功しはじめた時に「月収70万円を稼げる」と言って自信満々に会員を勧誘する場面がある。稼ぐ前は自信が持って誘えなかったのに、「収入があることで絶対的な自信が生まれた」と。

プロブロガーやらメディアクリエイターも、ネットワークビジネスと似てるとこがあるんじゃないんでしょうか。

短期的にでも上手くいってれば、自信を持って他人を誘うことができる。誘う側は相手のことを養分くらいにしか考えていない。上手くいかなくても「自己責任」「努力が足りない」「諦めるな」で終わり。

長期でみたら平凡なサラリーマンとどっちがましなのか怪しい。しかも一度深いところまで足を踏み入れると、戻る道はない。



前作もそうだけど、この作者は「みんな近寄りたくないけど、興味のある世界」を書くのがすごくうまい。初期の頃の『闇金ウシジマくん』みたいな感じ。こういうタイプのストーリーだと、読者は本当のことは知らないんだから、それっぽいことが(イメージ通りのことが)書いてあれば、読者はリアルだと感じるのかなと思った。

あと、意図しているのかもしれないけど、キャラクターが無個性。主人公でさえ何を考えているのかよくわからん。無個性な方が、ネットワークビジネスとか不動産営業とかブラックな世界とマッチするのかもしれないが。

最後に、ほんとにどうでもいいこと。「女性が財布だけを小脇に抱え〜」とか「油の弾ける音が〜」という描写が繰り返し出てきて妙に気になった。確かに「あるある」と思っちゃうんだけど。

狭小邸宅 (集英社文庫)

狭小邸宅 (集英社文庫)