【読書メモ】乱読のセレンディピティ
セレンディピティ(serendipity)、思いがけないことを発見する能力。とくに科学分野で失敗が思わぬ大発見につながったときに使われる。
本をたくさん読めば知識は増えるが、読めば読むほど賢くなるわけではない。むしろ「知識メタボ」のようになって頭が働かず、結果として害悪になることもある。重要なのは知識や記憶力ではなく、思考力。思考力とは、知識がない問題を考え、理解する力だ。
本書で推奨されるのは、幅広い分野の本を乱読することだ。全てを理解できなくても、思考しながら読む。思考しながら読めば内容のエッセンスは記憶に残っているから、乱読を続けていくうちに、セレンディピティにつながることがある。
「セレンディピティ」という言葉を初めて知ったのだが、いい言葉だと思う。
常に思考し、行動していればセレンディピティが起こるかもしれない。努力さえしていれば偉大なことが達成できるというわけではなく、かといって運任せというわけでもない。努力も運も、両方必要なのが現実。セレンディピティは現実的でありながら、ポジティブな期待を持たせてくれる。
著者の外山滋比古氏は、『思考の整理学』で有名だ。本書でも思考に関連して「忘却」や「朝の時間」の重要性について書かれているが、『思考の整理学』ではそれらも含めて、よりよく思考するための方法について書かれているので、未読の人にはおすすめ。