Life goes on

経済的独立を目指すための情報を発信しています

【読書メモ】銭ゲバ

 

主人公の蒲郡風太郎は、幼少のころ治療費を払う金がなく母親を病気で亡くし、周囲から虐げられて育った。

大人になり、主人公は金のためなら何でもする「銭ゲバ」となった。金と名誉を手に入れるためには手段を選ばず、人をだまし、邪魔者は次々に殺していく。やがて会社をのっとって社長になり、最後は政治家にまで昇りつめる。

しかし、いくら金と名誉を手に入れても、自分が殺した人たちや病気から救えなかった母親の記憶は消えず、苦しみ続ける…。

 
 
登場人物のほとんどが不幸になる(というか死ぬ)、救いのない話。
グロとかはないんだけど、コミカルな絵なのに醜い内容が盛りだくさんで、逆に不気味さを感じた。
 
本書が書かれたのは1970年。『週刊少年サンデー』で連載していた。この内容の漫画が少年誌で連載とか今の時代ではありえない。
2009年にはテレビドラマ化されているが、こちらは時代設定が現代になっている。
 
昭和の「貧困」が本書の一番のテーマだが、中盤では公害や政治運動ついても書かれている。舞台となる時代は若干ずれるかもしれないが、『Always 三丁目の夕日』のように「昔は心温かな人たちが多かった」「貧乏でも将来への希望があった」的な昭和のノスタルジーとは真逆の世界が『銭ゲバ』だ。
 
 
 
私は1986年(昭和61年)生まれなので昭和の時代をほとんど知らないし、昔がよかったとか今の方がいい時代だとか言える立場にはない。
しかし、昭和の方が確実に貧乏で苦しむ人は多く、世間一般の考え方や行動が乱暴で、公害などの社会問題があり…と大変な時代だっただろう。
 
現代は昔と違って職がない、給料が上がらない、年金がもらえないかもしれない、など問題はたくさんある。だけど「昔のやつらはよかった。そのツケで俺たちは苦労している」的な考え方はしないでおこうと感じた。