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【映画メモ】フルメタル・ジャケット(ネタバレあり)

先日のエントリで『野火』について書きましたが、戦争映画はこれまで全然興味がなく、ほとんど観たことがありませんでした。 

rs-hmgsr.hatenablog.com

これを機に戦争映画を観てみようかなと思い、評判の高い作品から選んだのがコチラ。
フルメタル・ジャケット [DVD]

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スタンリー・キューブリック監督の、ベトナム戦争を舞台とした戦争映画です。海兵隊に入隊した若者たちが鬼のような軍曹にしごかれまくる前半と、その訓練を卒業した主人公がベトナムで戦う後半の二部構成になっています。

前半部分で、ありとあらゆる罵詈雑言で兵士たちを人格否定しまくるハートマン軍曹スラングと訳の字幕が最低すぎて、絶対にテレビでは放送できません。そしてしごきの一番のターゲットとなる「微笑みデブ」とあだ名をつけられたレナード。この二人のキャラクターが本当に強烈で、前半部分が際立って面白いです。

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この映画は、おそらく典型的な戦争映画で描かれるような「戦争の悲惨さ」や「命の尊さ」みたいなものを描いた映画ではありません。終始どこかシニカルで、あっさりと人が死んでいきます。

前半では若者を兵隊として鍛え上げたが、結果として発狂した兵隊に殺されてしまう軍曹。後半では撃たれた仲間を救助するためとはいえ、「どう考えても殺されるだろ」という状況で突撃していき、案の定撃たれて死ぬ場面があります。ラストは「ミッキーマウスマーチ」を歌いながら行進する兵隊たち…と兵隊たちの狂気を象徴する演出で幕を閉じます。

このように兵隊たちの狂気を皮肉に描くことで、人間の狂気を引き出す戦争の愚かさとか、普通の若者を狂わせてしまう異常な訓練のバカバカしさみたいなものを表現しているのではないかと解釈しました。

当初考えていた戦争映画とは全く別方向の面白さでしたが、観てよかったと思える映画でした。好き嫌いが分かれる映画かと思いますが、ハートマン軍曹の名言(迷言)の数々を多くの人に楽しんでいただきたいです。