Life goes on

それでも人生は続く。

今さらだけど小説版『リング』の良さについて書く

 

リング (角川ホラー文庫)

リング (角川ホラー文庫)

 

小説版の『リング』が好きで、定期的に読みたくなる。

『リング』と言えば、多くの人は映画を思い浮かべるだろう。映画の「貞子が不気味な動きでテレビから出てきて〜」っていうシーンはあまりにも有名だし、今ではそれが一人歩きして貞子自体ネタみたいな扱いになってしまっている。映画は映画でホラーに特化していて素晴らしいけど、トータルでみると小説の方が好きだ。

原作は映画のような「呪い」とかホラー要素はそこまで多くなくて、ビデオの映像を分析したりして、論理的に謎解きを進めていく展開が多い。「ビデオを観たら一週間後に死ぬ」というオカルト的な状況に対し、地道に論理で立ち向かって行く。このバランスが優れているから、物語にリアリティが感じられるし、映画のような派手さはないが、じわじわくる怖さがある。

初めて読むと怖さと謎解きの方に意識が向くけど、再読すると、「主人公二人(浅川と竜司)の友情」というテーマも良い。浅川は主人公だけど本当に平凡な人物で、「一週間後に死ぬ」という極限の状況に何度もテンパったり、諦めそうになったりするが、その度に破天荒な竜司が叱咤激励して進んでいく。

浅川が最初は「こいつなら死んでもいいや」みたいな理由で竜司にビデオを見せるのに、励まされ、命を助けられて、最後ははっきりと親友だと言える存在になる。おっさんになって「親友」と言える人がいたら素晴らしい。

あと、読んだ人しかわからないだろうけど、竜司のこの辺のセリフが好きだ。

「処女のまま死にたくないって気持ちは、そんなにバカげてるのかよ。オレだったら、もし、オレだったら、やはりそう思うぜ。童貞のまま死ぬのはいやだってな。」
「なあ、よく考えてみろ。オレたちの将来にはなあ、確実なものなんて何もねえんだ。常に、あやふやな未来が待ち構えている。それでも、おまえは生きていくだろ。」

『リング』は最高のホラー小説だと思うので、未読の人はぜひ読んでみてほしい。ちなみに『リング』シリーズとして『らせん』や『ループ』などの続編がある。ただし世界観や設定が大きく変わったりして微妙なので、個人的には『リング』だけの方がきれいにまとまっててオススメ。