【読書メモ】ふたり 唐沢寿明
唐沢寿明の20年前くらいのエッセイ。唐沢寿明が役者として成功した転機として、事務所の人のすすめで「Vネックセーターやポロシャツなど、自分が最も嫌いな格好をした」ところ、さわやかなイメージで人気が出たというエピソードがある。
本来の自分とは真逆のイメージで売れることには葛藤するものの、プロとして世間のイメージに合う「唐沢寿明」を作るよう奮闘してきたことが、このエッセイに書かれている。
仕事では本当の自分を出せない分、私生活ではありのままの自分を出す。ありのままの自分でも受け入れてくれるのが妻の山口智子であり、そんな女性に出会うことができて幸せだ、といったエピソードでエッセイは締めくくられている。
役者は物語の人物になりきることが仕事だから、成功するためには自分を殺して全く異なる人格を作ることは当然かもしれない。
一方で、私のような平凡なサラリーマンも自分を殺すことが重要だ。職場の人間関係は極めて重要だし、自分の好き勝手やっていては生きていけない。「勤務中は全く異なる自分を演じている」、という人もけっこう多いのではないかと思う。
私は社会人初期の頃は、「周りに気を使いたくない」「ありのままの自分でいい」と考えて過ごしていたが、今では周囲との信頼関係を作ることを何より大事にしている。良くも悪くもサラリーマンとして会社に染まったのかもしれない。
改めて考えてみると、上司からは「動きが早いやつ」、同僚からは「親切で頼りになる」、後輩からは「仕事ができて優しい先輩」、と思われる人間であろうとしている。それはサラリーマンとしては優秀だけど、どんどん本来とは違う自分になってきているような気がする。
そして、仕事だけでなくプライベートでも本当の自分が出せなくなっている。飾らない自分を出して、受け入れてもらえなければそれでいい。すごく難しいことだけど、そういうスタンスで人と接するようにしたい。
【読書メモ】乱読のセレンディピティ
セレンディピティ(serendipity)、思いがけないことを発見する能力。とくに科学分野で失敗が思わぬ大発見につながったときに使われる。
本をたくさん読めば知識は増えるが、読めば読むほど賢くなるわけではない。むしろ「知識メタボ」のようになって頭が働かず、結果として害悪になることもある。重要なのは知識や記憶力ではなく、思考力。思考力とは、知識がない問題を考え、理解する力だ。
本書で推奨されるのは、幅広い分野の本を乱読することだ。全てを理解できなくても、思考しながら読む。思考しながら読めば内容のエッセンスは記憶に残っているから、乱読を続けていくうちに、セレンディピティにつながることがある。
「セレンディピティ」という言葉を初めて知ったのだが、いい言葉だと思う。
常に思考し、行動していればセレンディピティが起こるかもしれない。努力さえしていれば偉大なことが達成できるというわけではなく、かといって運任せというわけでもない。努力も運も、両方必要なのが現実。セレンディピティは現実的でありながら、ポジティブな期待を持たせてくれる。
著者の外山滋比古氏は、『思考の整理学』で有名だ。本書でも思考に関連して「忘却」や「朝の時間」の重要性について書かれているが、『思考の整理学』ではそれらも含めて、よりよく思考するための方法について書かれているので、未読の人にはおすすめ。
ジブリとかディズニーの作品をほとんど観たことがない
もちろん大人になってからジブリとか何作かは観たが、それは「名作と言われているから」「みんなが観てるから」観たというだけだ。確かに評判どおり面白いけど、あまり記憶に残らない。みんなが会話で盛り上がるほどの熱量は持てない。みんなが盛り上がれるのは、子どものころにリアルタイムで観たとか、思い出補正とかも大いに含まれているだろうし。
私も子どもの頃にリアルタイムで大好きだった作品、例えばドラゴンボールとかだったら、ストーリーをそらで詳細に言えるし、超マニアックなキャラでもわかる自信がある。仮に大人になってからドラゴンボールを初めて観たとしたら、とてもじゃないがそんな風に記憶に残るとは思えない。
子どものころに自然な流れで作品に触れるのと、大人になってから、「名作だから」という理由で観るのでは、「みんなが観てる」という点では共通していても、記憶への残り方は全然違う。名作には大人しか気づくことができない良さもあるだろうが、それは子どもの頃に観た記憶との対比があるからこそ意味があるものだと思う。
いくら名作だろうが、本当は大して興味がなく、記憶に残らないのであれば観たってしょうがない。偏りがあっても、自分の興味の赴くままに観たり、聴いたり、読んだりすればいい。
今さらだけど小説版『リング』の良さについて書く
小説版の『リング』が好きで、定期的に読みたくなる。
『リング』と言えば、多くの人は映画を思い浮かべるだろう。映画の「貞子が不気味な動きでテレビから出てきて〜」っていうシーンはあまりにも有名だし、今ではそれが一人歩きして貞子自体ネタみたいな扱いになってしまっている。映画は映画でホラーに特化していて素晴らしいけど、トータルでみると小説の方が好きだ。
原作は映画のような「呪い」とかホラー要素はそこまで多くなくて、ビデオの映像を分析したりして、論理的に謎解きを進めていく展開が多い。「ビデオを観たら一週間後に死ぬ」というオカルト的な状況に対し、地道に論理で立ち向かって行く。このバランスが優れているから、物語にリアリティが感じられるし、映画のような派手さはないが、じわじわくる怖さがある。
初めて読むと怖さと謎解きの方に意識が向くけど、再読すると、「主人公二人(浅川と竜司)の友情」というテーマも良い。浅川は主人公だけど本当に平凡な人物で、「一週間後に死ぬ」という極限の状況に何度もテンパったり、諦めそうになったりするが、その度に破天荒な竜司が叱咤激励して進んでいく。
浅川が最初は「こいつなら死んでもいいや」みたいな理由で竜司にビデオを見せるのに、励まされ、命を助けられて、最後ははっきりと親友だと言える存在になる。おっさんになって「親友」と言える人がいたら素晴らしい。
あと、読んだ人しかわからないだろうけど、竜司のこの辺のセリフが好きだ。
「処女のまま死にたくないって気持ちは、そんなにバカげてるのかよ。オレだったら、もし、オレだったら、やはりそう思うぜ。童貞のまま死ぬのはいやだってな。」
「なあ、よく考えてみろ。オレたちの将来にはなあ、確実なものなんて何もねえんだ。常に、あやふやな未来が待ち構えている。それでも、おまえは生きていくだろ。」
『リング』は最高のホラー小説だと思うので、未読の人はぜひ読んでみてほしい。ちなみに『リング』シリーズとして『らせん』や『ループ』などの続編がある。ただし世界観や設定が大きく変わったりして微妙なので、個人的には『リング』だけの方がきれいにまとまっててオススメ。
バターコーヒーを1か月間飲み続けた結果
- 空腹感が抑えられる
- 頭の中の霧が晴れたようになり、集中力やパフォーマンスが増す
【バターコーヒーの作り方】
詳細を知りたい人は以下の本を参照。タイトルはアレだけど、内容は濃い。
How to Make Bulletproof® Coffee w/ Dave Asprey
日本ではグラスフェッドバターを手に入れるのが難しい。Amazonで買えるけど高い。1か月分で3,000円くらいかかる。試してみたい人は、いきなりお金をかけて全部揃えなくても、コーヒーはインスタントで、バターはスーパーで売ってる高めの無塩バターで、という感じではじめてみるのがいいかもしれない。
少量であれば、ミキサーはこれを使うと安くて手頃
コーヒー豆から挽く場合はこれを使用(豆から淹れると味が全然違う)
1か月間バターコーヒーを飲んだ結果
本題の飲み続けた結果だが、私のスペックは以下のとおり。
・171cm、58kgのやせ型(アラサー男)
・朝食はヨーグルトのみ、昼食は弁当屋、夕食は外食
・週2くらいでランニング
・睡眠時間は6〜7時間
ここから朝食をバターコーヒーのみにしたところ、結果は以下のとおり。
- 最初の2週間くらいで体重が1.5kg減った。
- 食欲が抑えられる感じはあまりしない。飲んだ後、そこそこの満腹感はある。
- 集中力はやや増しているかもしれない、という程度。カフェインの効果もあるので、「バターコーヒーのおかげ」と言い切れるほどではない。
- 体質もあると思うが、コーヒーの利尿作用でかなり頻尿になる。ひどいと30分に1回くらいトイレに行きたくなる。
- MCTオイルの影響か、お腹がゆるくなる場合がある。
例えば、元々朝食をしっかり食べている人が朝食をバターコーヒーのみにすれば、摂取カロリーが減るから確実に痩せるだろう。つまりバターコーヒーを飲まなくても、糖質を制限すれば痩せることはできる。
バターコーヒーは本当に体にいいのか
- バターコーヒーだけでは、普通の朝食に比べて脂肪以外の栄養素が不足する
- グラスフェッドバターの脂肪は確かに体にいいが、一般的に摂取する量より多い
- コレステロールが増加するという報告が出てきている
「シリコンバレー式〜」をはじめ何冊か本を読んだが、「糖質を制限して、良質なタンパク質と脂質を多くとるのが健康によい」という考え方が今の主流だ。
小麦、イモ、果物など糖質が多い食べ物を避ければ、肉・魚・野菜・バターなどはたくさん食べてもいい。昔は体に悪いと言われていた脂質も、今では良質なバターや油は、むしろ健康にいいと言われている。とにかく糖質を必要最低限に抑えることが重要。
糖質制限の真実 日本人を救う革命的食事法ロカボのすべ て (幻冬舎新書)
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